シンポジウム

平成21年度 早期修了プログラムシンポジウム(報告)

早期修了プログラムの履修指導システムと社会的要請

平成22年3月11日、第一回「早期修了プログラムシンポジウム」を開催しました。本シンポジウムでは、社会人の博士号取得に対する必要性を認識し、それに積極的に応える筑波大学独自の対処としてプログラムを発足させた事情を紹介するとともに、達成度評価と外部評価等により博士号の質を保証するシステムを議論し完成度の高いものとすることに役立てることを目的としました。

シンポジウムの様子参加者の様子

開催場所

筑波大学総合研究棟A 1階110公開講義室

開催時間

平成22年3月11日(木)14:00-16:30

概要

  • 総合司会
    大田友一(筑波大学 早期修了プログラム運営副委員長)
  • 挨拶
    清水一彦(筑波大学 教育担当副学長)
  • 招待講演「早期学位取得の社会的要請について」
    松澤一也(株式会社東芝 研究開発センター)
  • 講演「履修指導システムについて」
    宮本定明(筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
  • 報告「履修指導報告」
    村上正秀(筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
  • 招待講演「早期修了プログラムの外部評価について」
    竹内伸(東京理科大学 名誉顧問)
  • パネルディスカッション
    • 竹内伸(東京理科大学 名誉顧問)
    • 矢野友三郎(経済産業省産 業技術環境局)
    • 荒井和雄(産業技術総合研究所)
    • 大澤義明(筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
    • 宮本定明(筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
    • 村上正秀(筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
    • コーディネーター:喜多英治(筑波大学 早期修了プログラム運営事務局長)
  • 総括
    村上浩一(筑波大学 早期修了プログラム運営委員長)

シンポジウム内容

開催趣旨と目的

本シンポジウムでは、社会人の博士号取得に対する潜在的ニーズをとらえ、それに積極的に応える筑波大学独自の対処としてプログラムを発足させた事情を紹介し、博士号の質を保証するための達成度評価とシステムを見守る外部評価等を含めた、履修指導システム及び運営の更なる充実を目指す検討議論の場とし、プログラムの有用性を広く発信することを目的とする。

招待講演:株式会社東芝 研究開発センター 松澤一也氏
「早期学位取得の社会的要請について」

松澤氏

“企業側から見た博士学位の必要性”をテーマに、海外からの博士学位取得者への対応の変化、研究者としてのキャリアアップ、プログラムの方向性などについて講演し、このプログラムを企業と博士学位取得の橋渡し的存在と捉えていると述べた。

講演:筑波大学システム情報工学研究科 宮本定明教授
「履修指導システムについて」

宮本教授

“具体的な履修指導体制についての説明”をテーマに、本プログラムの最重要課題である博士学位の質保証を、達成度評価システムや外部評価システムを導入し、プロセスが確実に行われているか検証していると述べ、併せて論文博士との違いについても説明があった。

報告:筑波大学システム情報工学研究科 村上正秀教授
「履修指導報告」

村上正秀教授

本プログラムの履修生を実際に指導するにあたっての具体的な履修指導方法と感想について報告し、このプログラムによって、論文博士の透明性についての懸念等がある程度払拭できたのではないかとの見解をよせた。

招待講演:東京理科大学 竹内伸名誉顧問(現:東京理科大学近代科学資料館長)
「早期修了プログラムの外部評価について」

竹内氏

“外部評価システムの役割”をテーマに、外部評価システムの目的や具体的な運営方法について講演し、併せて外部からの視点による本プログラムの特徴・長所などについても述べた。

パネルディスカッション

報告:筑波大学システム情報工学研究科 大澤義明教授
「文部科学省18~19年度「先導的大学改革推進委託事業」博士課程「短期在学コース」の創設に係る課題等に関する調査研究」

大澤教授

パネルディスカッションに先立ち、早期修了プログラム関連事業である本調査研究より、早期学位取得に対しての社会調査・データ分析、海外交流の活発化、上昇志向からのキャリアアップへの動き等について報告があった。

ディスカッション

学内・学外から6名のパネラーを招き、以下の提言・論議がなされた。

  • 「早期学位取得に対する社会のニーズ」と「個人のニーズ」をどう区別していくか。
  • 企業にとっても大学の研究レベル向上のためにも、高度人材の育成が重要である。
  • 達成度評価の作成には「個々の問題点を確実に改善していくことが重要」という背景がある。
  • 通常の博士課程(3年制博士後期課程)の学生と本プログラム履修生で、同レベルの達成度が担保されることが大事である。通常の博士課程も含め、学位の質保証を考えていく必要がある。

Photo